舌先から散弾銃

ただの日記です

だから私は事実婚をした

 

『誰かの想いも海を渡り

倫敦の霧の向こうに消えてゆくような そんな夜もある』サニーデイサービス/愛と笑いの夜

 

toeceroタランティーノが好きな多摩美術大学油画専攻出身(院卒)現東京都中学校教員(現在は伊豆諸島勤務)とお付き合いしてる 太宰治ヴィトゲンシュタイン小沢健二が好きな映画大好き現役美大生が(出会い系で)知り合い事実婚までしちゃった話。

今年が終わる前に覚書。

 

 異動がわかったのは今年2月。「次は何処に住もっか、中央線とかいいね」とかなんとか話していた矢先である。

 

 籍があれば単身赴任費が月々5万円支給されるらしく(給料も島流し代で増える)、本来行っても帰ってこれない確率の方が高い島なので休みも取りづらいが「妻が本土に待っています」と休みが取りやすくなる、私にしてあげられることも増えるのではないか、と入籍の話ではじめたのが内示3日後くらい。リクルートスーツで半蔵門線に乗っている私にきた連絡は「新横浜のホテルのディナーの予約を取ろうと思う、今日夜空いてる?」

女なら察する。「嗚呼プロポーズされる」と。

 私は「それは好きの搾取です!」(逃げ恥10話)ってプロポーズを断ってしまったのだけれど、恋人は話す順序を間違ってしまっただけで、根本は「どうせ好きで、結婚したくて、同棲する気も満々だったのなら何を待っているのだろう」というのに気がついたのは最近のこと。


 月々5万円が3年間続いたら180万。頭ではわかるがあまりにもビジネスライクでもやもやしたのがプロポーズ未遂から1週間経ったあたり。女の子にとって劇的なものであって欲しいと願ってしまう(!)転機がこんなんでいいんだろうか。そんな私のモヤモヤは、相手に期待していた分「こうして欲しかったのに」という言動への一方的なギャップであったり、まだまだ若いし正直遊びたい、仕事も少ししてみたい、という考えに尽きるのだろうな、と反省し始めたのがプロポーズ未遂から2週間経ったあたり。

 

 話して、泣いて、

「あのね!すっごい俺のわがままをこれからいうね!かっこ悪いけど聞いて!アスちゃんは俺よりもこれからがある、人生の選択肢は無数にある。それを奪い取るようなことはしたくない。けど、一緒にいたい。‪『生きていればきっといいことがある』ということをアスちゃんに証明するために事実婚をしたい‬」

と恋人が鼻水まみれの顔で私に訴えかけてきたとき、人は時として振り回して回されて、奪ったり奪われたりして生きているけどこの人は私から何かを奪い取るような人ではない。信じることはできないけど、託す価値は、賭ける価値はある。

ここで偉そうに教訓ですが、思ったことは言わないと伝わりませんよ、まじで。

 

『同棲・半同棲の事実があり、婚姻の意思がお互いにあった。だが今回の異動で継続が不可能になった』という証明を都教委にできれば単身赴任費は出る。

  事実婚というのは「入籍」とは違うので、法的な縛りも年金も苗字も変わらない。私の住民票を一度移す。ということが唯一つのモーション。だから名ほど、大掛かりではないのです。ただ、恋人から婚約者になるだけ。

 

 住民票の移動は親の同意がなくても勝手に自分の意思でできる。が「それは筋違い」と恋人が言うので私の親に会いに来たのが3月4日。

 恋人が言ったのはおおよそ、結婚を前提に真剣にお付き合いしていることを認めて欲しいこと、それを学校・都教委に伝えたいということ、然るべき時にまた挨拶にくるということ、書類証明として住民票を移させて欲しいこと、許しが出なけれ書類としての処理はしないつもりであること。

「古堅くん。わざわざ会いに来て報告してくれてありがとう。これは社会の先輩からで、娘は一切関係ないこと言うね。異動は男として成長するはず。一人の時間が多い分たくさん考える、色々。世の中に絶対はない。結婚するかもしれない、しないかもしれない、だからそんなに肩張らず行っておいで。うちのバカ娘でよければいつでももらってやってください」

この時ほど父がかっこいいと思ったことなかった。同時に有難くて愛おしくて寂しくて安心して涙が出ました。

 

暴風暴雨で注意報まででて一緒に過ごすクリスマスを諦めてましたが、朝起きたら快晴。

もうそろそろ婚約者(ハズカシー!)と1ヶ月ぶりに会えます。

先のことはわからないし、"絶対"は世の中にはないね、絶対(ここ笑うとこ)。