舌先から散弾銃

ただの日記です

ニューヨークに行く前に考え中、など

4月17日
気が立って全然眠れないので、頭の整理がてらメモを書くことにした。in機内。

・初めて1人で海外旅行したのは19歳の春だった。大学1年生の時給1200円のバイトで貯めた(ZARA)貯金を全部突っ込んで行った。春休みだった。

・行き先はニューヨークだった。なぜなら、当時の私はSATCにハマっていた。そして小沢健二がニューヨークを生活の拠点にしていた。ただそれだけ。

・そう、私は根がかなりダサい。自覚している。

・ちょうどその頃、POPEYEでニューヨーク特集が組まれていて、そこで小沢さんがエッセイ(縦列駐車のやつ)を寄稿していた。そのPOPEYEを片手にニューヨーク中を歩き回った。そんな自分が好きだった。

・初1人海外旅行で、片道の航空券だけ買って行った。「あ、ニューヨークに行こう」と思い立ってから3週間後には飛行機に乗っていた。

・当然wifiの存在など知らず、データローミングしまくって高額請求が来て帰国後、軽く親に怒られた。親に怒られた数少ない記憶の一つ。

・当時は、ただ漠然とした不安が私を襲っていて「まあ死んでもいいか」くらいのテンションだった。

・私は例に漏れず、太宰治町田康を読み漁る、いや〜〜〜なかんじの希死念慮を持つ19歳だった。立派な大学二年生病だった。

・そのわりに、旅行の計画を立てている最中どんどん生きる活力みたいなものがみなぎってきた。当時の日記には「死ぬことを考えていたら、溌剌としてきた」などと書かれている。

・破滅願望ではないのだなと自分で分かったのが、その後の私をかなり助けた。

・当時の私は、自分が未貫通(なんて下品な表現、でも処女だと多少語弊があるんだ)であることにかなりコンプレックスを抱いていて、好きな男は誰も振り向いてくれないわ、セックスも上手くいかないわ、彼氏ともうまくいかないわで、とにかく自分が自分であることにかなり自信を失っていて、このタイミングでメガネをやめてコンタクトに切り替えた。わかりやすく、モテようとした。

・結果、ニューヨークから帰ってきた私はとにかくモテた。

・ここでのモテとは、色情と友情いずれも当てはまる。そしてこのモテは、いまもうっすら継続中。

Google翻訳なども全然発達していない頃の海外で、RPGのように日にちが経てば経つほど英語が聞ける、喋ることに快感を覚えて、お金が尽きて帰国した頃には随分自信がついていたように思う。

・正直、あの1人旅行から何かがくりっと音を立てて変わった感覚はあって「あ、私ってかっこよくて、賢くて、かわいかったわ」みたいな自信がみなぎったのをよく覚えている。

・ホテル清掃で物を盗まれるのが怖くて(ださい)4日間くらい部屋掃除頼まなかった(汚い)ら無理やり入られて掃除されてた。何も盗まれてなどいなかった。

・初めて見たブロードウェイのマンマミーアがなぜか泣けてしかたなかった。

・だから8年ぶりに仕事でニューヨーク行きの飛行機に乗っている今の状況は、個人的にはなかなかエモい状態。

・しかも狭く前途多難なエコノミークラスではなく、意気揚々と乗り込んだプレミアムエコノミーで。

・使い慣れないキャリーケースではなく、動きやすく扱い慣れたバックパックは、この数年間で得た機動力と知恵の象徴。

・このエモい状況に、ビリー・ジョエルのコンサートがかぶっていて「やった〜〜!」と思っていたんだけど、フライト一週間前にまさかの延期連絡。返金も無しでかなり「えーーーー」って感じ。

ツイッターで検索したらアメリカ人も全員怒ってた。人はもっと怒っていい。飛行機から降りたら「やっぱりやります」ってなってないかなぁ。

・まあ、かなり残念だけど、またタイミングがあるっておもっていいのかな。

・その後、やはりこのコンサートは行われず、チケット会社に英語で怒りのクレームを送りまくって全額返金をもぎ取る。(5月17日追記)

4月26日

・帰国後、実家にお土産を渡しに帰ったところ、当然8年前のニューヨークの話になり、お母さんに「よく行ったよね。当時も思っていたけど」と言われた。お母さん。

・夏にインドにも行って、調子を取り戻したように思っていたんだけど、なんかどうも心にモヤがかかったままで、どこか自信がないというか「まあ、私、根はダサいもんな。田舎の高卒の子だし」とか未だかつてないネガに突入していたんだけど、帰国後絶好調。私やっぱすごいわ。ニューヨークとの相性が良すぎる。

5月9日

・敬愛している人物に懇切丁寧なメールを送ったところ、懇切丁寧なお返事をもらった。

・私は自分に自信があるようでなくて、自分の意思がありそうでないけど、自我と自己愛をもっている。

・だから、彼が送ってくれた「あなたは、他の人とは少し違うセンスを持っていると文面から推察した。そしてその例外さは、私をほっとさせてくれた」と言う内容の文面は強く私を励ます。

5月17日

・最強を目指して、キックボクシングを始めた。

・怒りパワーが高まってきた。正常に怒り、冷静に叩きのめす力を蓄えられている。健康そのもの。

・その過程でタイマンをはりつつ、試合終了後は握手をすることが今の私にはできるようになってきた。

・ここでの怒りパワーとは喧嘩ではなく、原動力のようなものを指す。私は世の中に自分の力を示したい。それは競争でも権力でもなく、自分の力を自分のためだけに誇示したい。

・誰にも何も言わせない圧倒的なパワーが欲しい。パワーと話がしたい。

・このパワーは成長でもない。体が大きくなったとか、身長が伸びただけでもそれは成長というんだから。その成長を評価すんのはあまりにも他人すぎるし、数字すぎる。私が求めているパワーは数値では測れない。

・人は責められ耐性がなく、耐性がないから「生意気」とか「怖い」とか言って人をいなしたりもする。

・私のいいところは反省できるところだと思う。態度が横柄だと言われれば、そういえばそういう所あるよな、って素直に思う。

・でも、「あの人がそうやって言ってたよ」とか他人を引き合いに出されると途端に聞く耳がなくなってしまう。私は、あなたのパワーと話がしたいのに。卑怯だ、僻むなよ。

・人の不十分さを突く毒のような言葉が、優しさの役目を担ったり、背負ったりするということはあり得ると思うんだよね。

・やっぱり相手を見ちゃダメなのかもしれない。そう悟り、私はパワーへの探究を始めた。パワーは一番わかりやすい。

・みんなそれぞれ違うパワーを持つ。仕事はパワーを得るための手段。

・ついでに言うと私のいいところは、人が勧めたものはまずは素直に観たり聴いたりして、そのまま気に入ったらどっぷりハマるところだと思う。このいいところのおかげでずいぶん有意義な10代20代を過ごせた。素直さは知識と学を生み出し、知識と学で身につけた賢さは生活を少しだけ豊かに、そして楽にしてくれる。

5月30日

ceroの新譜を聴いた。たくさんのことを考えた。

・わたしは今、この世界をどれくらい素晴らしいと思えているのかを明確な数字や言語を持って示せない。

・でも、「素晴らしい世界だ」って言える、歌える側の人間でいたい。

・世界に絶望して終わるのは簡単だ。

・街だけじゃなく、自分たち一人ひとりがそもそも混乱した存在。

・体の中にも大量の菌があり、独りぼっちでも一人になれないという矛盾を最初から抱えてる。

・その矛盾に飲み込まれないようにするためには、どうしたらいいのかを考えているところ。

・まずは自分が孤独になり、混乱や不安定さこそが自分たちを形成しているんだ、と認識することから始まる希望はあるのではないか。

・いかにして「みんな」や「私たち」という主語を解体していくかにかかっている。そのための人は体を揺らしたりして、たまに踊ったりするんだと思う。