舌先から散弾銃

ただの日記です

あすかちゃんならこういう時『全員殺す』って思うだろうな

 高校3年間同じクラスだった友達が実家を出てシェアハウスをしているというので遊びに行ってきた。その街は、かつてわたしが大大大大恋愛をし、惨めになるくらい大大大大大大大大失恋した男がわけー女と住んでいると聞く街だった。わたしは、どんな人混みの中でも彼を見つけられる自信が未だにある。両足に重心をしっかり移動しながら歩く歩き方とか、踵から歩くところとか、少し猫背だとか、身長だとか、匂いだとか。で、未練がましく喫煙所で大して吸いたくもないタバコをばかばか吸いながら街ゆく人を見ていたんだけど、会えなかったー。会えたらよかったな。今ならももうちょいちゃんと仲良くできると思うわ。彼と握手をすること、普通に飲みに出かけたりできるようになることがこの人生の目標の一つでもあるようになっちゃった。

 友達が駅まで迎えにきてくれて、家に向かう道中、高校2年生から付き合ってた同い年の彼氏と別れた話をさら〜っと聞いた。わたしはその2人のほんと所謂キューピットみたいなことをしたから、その場で立ち止まって思わず叫んでしまった。誰もが別れないと思ってたと思う。8年付き合ってた男と別れるということ。嫌になるくらい酒を飲んだり、泣いたり叫んだりするもんだと思ってたんだけど、その子はほんと音も立たずツーって泣くのみだった。その子は「今の彼を好きなんじゃなくて昔の彼が好きだし、私たちの関係が好きなだけなんだなって。それだと私が間違いなく幸せになれないことに気がついてしまった。」というようなことを言ってて、なんかほんとすごいし、頭が上がらなかった。本当に偉いよ。このままでは手に入らない幸せを諦めずに行動を起こしたってことだもんね、すごいよほんと。

 その友達の話をもう少しすると、私と性格が本当に真逆で、4人姉妹の上から二番目。家族の仲はいいけど多分いろんなことを我慢してきたと思う。頭がすっごくよかったけど、4年制大学に行かず特待生で奨学金で行ける専門学校に進学したことをどうにもならないことと思いつつ「なんとかならんのか」って思ったりもしてた。彼氏と別れたことの顛末を聞いた後、ベロベロになった彼女が「私は全人類が好きってタイプじゃん?それで辛くなった時に心の中であすかちゃんを召喚すんだよね」と突然言い出すので理由を聞いたら「あすかちゃんならこういう時『全員殺す』って思うだろうな、って思うと気が楽になるしなんだかおかしくなるんだよね」と言われた。すっごく笑った。今度、元彼の8年分の写真とか手紙とかを一緒に燃やす約束をした。傷は癒えるよ。大大大大大大大大失恋した後しばらく聞けなくなった音楽はたくさんあったけど、結局その音楽で卒論を書いて、ちゃんと評価もされた人間もいる。時は過ぎる、傷も癒える、呪いだって私を召喚すればできちゃうよ。

 この1週間、なんか本当全てのタイミングがすごくて「男の子選抜総選挙」みたいだった。誰1人手放したくないってのはわがままなんかなー。わがままだろーな。私は今週「疑似恋愛」という最高に都合の良い概念を手に入れた。地獄に落ちないようにしながら、なんとかみんなと手を繋いでいたい、まじで。とか私が男の子にひーこらしてる間にも仕事はわんさかやってくるし、やらなきゃおわんないので静かにパソコンを開きタイピングを続ける。仕事があってよかった。楽しいと思える仕事とそれを認められる自分でよかった。