舌先から散弾銃

ただの日記です

五月の空はダイアモンド

 

 

正直ここんとこ何ヶ月かは、堪えていた。

今年の春からは同棲を決め込んでいた恋人の異動。異動先は御蔵島という伊豆諸島の小さな小さな島。どれくらい小さいか、と言うと人口300人・イルカ200匹。うーん、あんまし想像がつかない。東京から船で8時間。波止場がひとつしかないこの島は、海が荒れると船がつかない。私たちを繋ぐ"橘丸"は巡回バスのようなもので、三宅島、御蔵島八丈島をぐるっと回る。「あー今日はミクラはやっぱり(!)ダメだねぇ」と言いながらミクラを通り過ぎ、船は大都会八丈島に行く。帰り際「やっぱ無理だわ」なんて言いながら島の脇を通り船は東京へと帰る。2月、3月の就航率は2割を切るらしい。船がつかないと、食べ物がない。「冬は食糧難になることはあたりまえだから缶詰買い置きしときなさい!」と彼は言われたらしい。そこはスーパーではなく商店がある国で、すべての肉は500円均一(量は多分200gだと思う)。

門島での任期は3年。東京オリンピックの年・春に帰ってくる。彼は33歳.私は24歳になる。

異動に準ずるひともめ、ふたもめを経て私たちは事実婚をした。名前ほど、たいそうなことではない。父母への挨拶(これは絶対いつかまたちゃんと書く)、先方父母への挨拶。その間を縫うように小沢健二の復活。代償かのような恩師の音信不通。それでもやってくるシューカツ。

さすがにへとへとであった。

 

色々なことが落ち着く五月にようやく入り、今はとっても寂しい。そりゃそうだ、毎日一緒に朝ごはんを食べ、いってらっしゃいと手を振り、身支度をして学校へ行く。家に帰り私は夕飯を作り、恋人はお風呂に入る。食べることが好きなのに、好きなひとと食べるご飯なんて幸せに決まってるのだ。デザートも平らげ、セックスだってする。それが魔法みたいになくなる、一瞬で。

"生活"に慣れるとボディブローのようにそれは効いてくる。

 

"慣れ"は優しい顔をして近づいて来るけれど、"

慣れすぎ"にはきをつけたいよね、わかる。